バフェットですら、今の紙くず同然の企業に投資する(だいぶ昔、20,30年前のはなし)

知らなかったのはカナリーだけで、米国株に詳しい読者の皆様はご存知なのかもしれません。たまたまあることを調べたくバークシャーの20年ほど前の1997年の10-Kを見ていたのですが、ガイコのバランスシートに目をやると、バフェット(マンガーかも)がガイコの資金で投資した企業が載っていました。もちろん、バフェット王道の保有株であるアメックス、ウェルズファーゴ、コカ・コーラがありましたが、その中に今となっては紙くず同然の企業が一つ含まれていました。その企業とはフレディマックです

バフェットは1997年時点でフレディマックの株を所有していたのです。フレディマックはリーマンショックによって破綻同然となった連邦住宅抵当貸付公社で、リーマンショック前には50ドル台だったその株式は現在、OTCにて1ドル台で取引されています。バフェット自身は1988年にフレディマック株を買い、92年に買い増しを行っています。ただその後、99年に売っているので損にはなっていません。ですから大した問題ではないと思う方も多そうですが、バフェットが所有したことのある株が後に紙くず同然となるケースは珍しいのではないかと思っています。確かにUSエアウェイズは本当に紙くずになりましたが、例えばウォルマートやP&Gなどは上昇していますし、IBMやテスコ(イギリス)も別に紙切れになった訳ではありません。大失敗と言っていたコノコ・フィリップスの値下がりも一時的でしたし…。私が知らないだけだったらごめんなさい。

バフェットがなぜフレディマックを所有して売却したか明確な理由をカナリーは知らない為、私の勝手な推測で話を進めていきますが、このことからいくつかの教訓が得られるのではないかと考えています。

・バフェットですら20年後の企業の姿を正確に予測することは出来ない。

バフェットの過去の名言から考えれば、彼がある株に投資をする場合、10年後や20年後、その株の株式価値が増大すると考えて投資していると思われます。つまり、バフェットがフレディマックに投資した時点では、フレディマックに対して長期的にポジティブな予測を立てていたと思われます。しかしそれから10年後のフレディマック株は紙くず同然になりました。つまりバフェットですら予測を間違えることもあるわけですから、我々にとって長期予測というのは更に難しいものだと思います。

・ほったらかしていたら大惨事。

もし仮にバフェットがほったらかし投資をしていたら(彼がそんなことするはずがないですが)、フレディマックへの投資はバフェット史上で５本の指に入る大損になっていたでしょう。しかし、バフェットはそんなことをしませんからこの投資で損をしていません。まあ何が言いたいかというと、個別株に投資する投資家は自分のポートフォリオを常に見つめ、自分の保有している企業に常に注意を向けておく必要があります。長期投資をいいことに、個別株投資でこの点を怠り、「ほったらかし投資」をやっている方もいらっしゃるようですが、個別株長期投資 = ほったらかし投資ではありません。集中投資に関する格言ですが、バフェットは「卵を1つのかごに入れて、見張れ」と言っています。そう、常に監視する必要があるのです(インデックス投資家はこの限りではありません)。ただこれは、売買を頻繁にするという意味ではなく、企業の動向、財務状況をチェックしたり、自分のポートフォリオを確認することが大事という意味です。

カナリーはバフェットがどんな理由でフレディマックを売却したのかをよく知りません。フレディマックが気に入らなくなったのかもしれないし、他に魅力的な投資案件があったのかもしれません。しかし、一つ言えることは、バフェットは決してほったらかし投資をしている訳ではないということです。個別株でほったらかし投資を実践している方は、よほど投資先の選定に自信を持っているのかもしれませんが、前述の通り、バフェットでさえ20年後の企業の姿を予測しきれてはいないことを考えると、「個別株ほったらかし投資」は良いアイデアとは言えないとカナリーは思っています。

まあバフェットの経験から上記の2つのポイントを説明するなら、USエアウェイズの件を引用すべきなのかもしれませんが、バフェットがフレディマックに投資していたことにカナリーがが勝手に驚いたのでこのような記事となりました。

最後に、あのバークシャーのホームページは何とか出来ないのですかね～(笑)。あまりにも原始的なホームページだったので、最初は偽のページか、パソコンが上手く読み込めなかったのかと思ったぐらいです。まあ節約志向で体裁を気にしない部分はバフェットらしいですが…