カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

セルジーンが-8%暴落

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昨日、セルジーンが-8%と暴落しました。ブリストルマイヤーズ株を保有するスターボードがセルジーンの買収案件に対して反対を表明し、大株主であるウェリントンスターボードの反対表明に呼応したため、買収成立が不安視されて下落しました。一方のブリストルマイヤーズは上昇しています。これはアクティビストたちがブリストルマイヤーズの身売りを要求しているためとも言われていますが、どちらかといえば、買収が不成立になれば株式発行をせずに済むことと、空売りのポジションが、不成立を見込んで解消されたことが要因だとカナリーは思います。

 

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ここからはカナリーの浅はかな考えであり、将来絶対こうなるというものではありません。ただ、私が思うにスターボードといったアクティビストが今回の買収をブロックするのは難しいと思います。というのも、このブルームバーグの記事よればスターボードの株式保有率は1%に満たない状態で、大株主であるウェリントンの株式保有率もわずか7.7%であり、この2つのヘッジファンドのみで買収をブロックするには保有株数が少ないと思います。ですから他の株主たちにも反対してもらう必要があるわけです。しかし、ブリストルマイヤーズの大株主はブラックロックやバンガードといった金融機関になります。金融機関中心の株主構成は大企業の典型的パターンですが、金融機関は今回のような買収提案を支持する傾向が強いと言われています。これは、経営陣と仲良くしておきたいというのと、M&A業務が金融機関、特に投資銀行の収益源であることが理由です。またもう一つは、金融機関は短期的な利益を求める傾向が強く、買収プレミアムで儲けが出てしまうなら、買収が企業にとって長期的にマイナスであっても賛成に回ることが多いと言われているからです。今回は買収側であるブリストルマイヤーズにおいて委任状争奪戦が起きているわけですが、金融機関はセルジーン株も保有しており、買収が成立すれば、セルジーンの株で利益が出せるわけです。このようなことを踏まえると、金融機関はブリストルマイヤーズとセルジーン双方の株主総会で買収に賛成し、買収成立を後押しするのではないかとカナリーは考えています。

 

とはいっても何が起こるのか分からないのが企業買収の世界です。例えば、もし投資助言機関であるISS等がブリストルマイヤーズ株主に対して反対するように助言すれば、金融機関も反対に回るかもしれませんし、これから反対に回るヘッジファンドが増えることも考えられます。ですので、ここまでカナリーが書いた意見や見方も今後の展開によってコロコロ変わってくると思うので、現時点での意見として参考程度に留めておいてください。

 

因みに、スターボードといったアクティビストが他の製薬会社にブリストルマイヤーズ株へのTOBをお願いし、実行してもらうという方法が、買収不成立を実現するために最も有効な手段ではないかと勝手に考えています。というのもブリストルマイヤーズの株はセルジーン買収発表後に株価が下落しました。この際に「ブリストルマイヤーズ株は安くなっているので他の製薬会社がTOBを仕掛けるかもしれない」とどこかのアナリストが言っていました(誰だか忘れてしまったので出典元を示せません。ごめんなさい…。)。もし、アクティビストであるスターボードたちがブリストルマイヤーズを欲しがっている製薬会社を見つけ出せた場合、株主総会の前にTOBを仕掛けるようお願いし、反対票を増やすというのが最も有効な手段であるように思います。ただ株主総会まで時間がないので、このように事が上手く運ぶ可能性は極めて低いと思いますが…。まあカナリーの勝手な妄想です。ただ裏を返せば、このような大胆な動きがない限り、アクティビストが買収を阻止するのは難しいと現時点では考えています。

 

  • ハードルはまだある

今回のセルジーンの買収案件では、株主総会で賛成を得られるかがキーポイントとなっていますが、このほかにもまだ独禁法のハードルが残っています。

 

セルジーンは多発性骨髄腫という病気の薬で高いマーケットシェアを誇っています。一方でブリストルマイヤーズもエンプリシティという多発性骨髄腫に対する薬を販売しています。エンプリシティのマーケットシェアは小さいのですが、セルジーンのマーケットシェアが大きいので、合併すると結果的に寡占の度合いが高くなってしまいます。この点を司法省が問題視する可能性は非常に高いと思います。だからといって、司法省が買収自体を阻止するともあまり思えず、問題視しても事業売却程度で済ませる気がしますが、まあこれも買収成立に対する不安要素の一つだとカナリーは考えています。因みに、年始から政府機関が閉鎖したため独禁法の審査は大幅に遅れているようです。

 

と、ダラダラ書きました。まあこの買収案件を外から見ているぶんには楽しいと思うので、今後もチェックしてみてはいかがでしょうか。

ブリストルマイヤーズによるセルジーン買収についてはこのページで概要やセルジーン株主に役立つ情報を書きましたのでご覧ください。

www.canary-w.com

 

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