カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

手作り転換社債について考える

転換社債というのは社債に転換権がくっついているものですが、理論上は社債ワラントが組み合わさったものです。

 

最近カナリーは、社債と同企業のワラントを組み合わせて、自分で勝手に転換社債ポートフォリオを作ってしまうとどうなるのかということを考えています。

 

なぜこんなことを考えてしまったのか。

www.canary-w.com

 

この記事にも書きましたが、最近の成長企業というのはバランスシートが健全であるパターンがよくあります。例えばグーグルなんかはレバレッジが低いですし、利払いにもまだまだ余裕があります。ですから、グーグルなどの社債は投資適格といえるでしょう。S&PもダブルAを付けていますから、このような企業への債券投資は理に適っていると思います。しかし、このような成長企業に債権者として投資するのは何だか勿体無い気もするわけです。そこで、ワラントやオプションを同時に買ってしまい、転換社債のような形にして、企業の成長力の恩恵を受けながら債券投資をするのはどうかなと考えてみたわけです。

 

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  • カナリーが考えたメリット

  •  マーケットが急落した場合でも損失は比較的小さく済む。

 成長企業の株というのは割高で取引されていることが多いので、何かの拍子に急落することがよくあります。例えば昨年には、成長株の代名詞といえたNVIDIAが高値から5割近く暴落しましたし、Amazonなんかも30%から40%ほど下落しました。

 

しかし一方で、この2つの企業の社債はほぼ無傷だったので、債券投資家は損失をほとんど被らずに済んだのです。

 

もちろん、ワラントやオプションの価値は株価急落によって大きく傷ついたでしょうが、転換社債ポートフォリオ全体で考えた場合、社債に対するワラントまたはオプションの部分は小さいので、それほど大きい損失にはなっていないはずです。また、もしワラントやオプションが満期間際でアウトオブザマネーになった場合、オプションとワラントの価値はほぼ0になりますが、社債の利息収入以下の価格だったワラントやオプションを買った場合、ワラントの損失分をそれまでに受け取った社債金利収入で賄えるわけです。

 

 

しかし、しかし。このように社債ワラント(オプション)を組み合わせた転換社債ポートフォリオで投資をしている著名な投資家やファンドをカナリーは聞いたことがありません(笑)。誰もやっていないということはデメリットが大きいのかもしれません(笑)。カナリーが考えたデメリットは以下の通り。

 

  • カナリーが考えるデメリット

  • 転換社債に比べて投資効率が悪い。

 一般的な転換社債というのは、ワラント価値の分だけ金利が低く設定されています。つまり、受け取る利息はワラント分を差し引いたものになっているわけで、ワラントの価値を先払いする必要がありません。しかし、転換社債ポートフォリオの場合、ワラントを先に買い、後から債券の金利収入でワラントの購入分を補っていくことになります。普通の転換社債は、ワラントを買う必要がありませんが、転換社債ポートフォリオは先にワラントを買わなければならないので、ワラント購入分だけ投資効率が落ちます。

 

  • 結局どういうパフォーマンスになるのか良く分からない。

 結局こんなことをやっている人がいないので、パフォーマンスがどうなるのかよく分かりません。恐らく、転換社債ETFのパフォーマンスが理論的に最も近いのかもしれません。しかし、転換社債ETFに組み込まれている企業というのは、転換社債を発行して金利費用を抑えたい訳あり企業や二流企業が多く組み込まれていることもあります。今回、カナリーが考えた転換社債ポートフォリオは優良成長企業の社債ワラントを組み合わせることを前提にしているため、ETFとは異なったパフォーマンスになるのではないかと思います。

 

  • 権利行使価格までの上昇は捨てなければならない

これは普通の転換社債にも言えることですが、権利行使価格までの上昇分は全く利益になりません。例えば、現在の株価が100ドルで、ワラントの権利行使価格120ドルの場合、120ドルまでの上昇分は捨てなければなりません。これによって、権利行使価格に到達するまでは、マーケットが上昇局面において原資産の株式に対してはアンダーパフォームすることになります。なので結局、普通に株に投資しておけば良かったと後悔するかもしれません。

 

まだまだ思い付きの段階で色々調べているわけでもないのですが、恐らく転換社債ポートフォリオをつくるなら、バランスシートが良く、株価と業績が著しく成長しており、無配か配当利回りが極めて低い企業が適しているのではないかと、現時点では考えています。またどのようなオプションやワラントを選ぶのかも重要なポイントでしょう。まあただ、現在の低い金利水準なんかを考えれば、今やるべきことではないかなとも感じています。

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