カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

セルジーン投資家が抱える不確実要素(CVRの処理)

現在、セルジーンの投資家はブリストルマイヤーズとの買収が無事成立することをウキウキしながら待っているのではないでしょうか。というのも、セルジーン投資家は買収成立後には現金50ドルとブリストルマイヤーズ株1株、つまり98ドル相当(日々変動)の対価に加え、一定の条件が成立すれば9ドルを受け取ることが出来るオプション(CVR)を受け取ることが出来ますから。なので合計で107ドル相当の対価を期待しているセルジーン投資家が多いのではないでしょうか。

 

しかしカナリーの推測では、日本のネット証券を通じてセルジーン株を購入している方は、CVRの対価の9ドル満額を受け取るチャンスを自動的に失ってしまう可能性があると考えています。あくまでカナリーの推測ですが…。理由は次の通りです。

 

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セルジーンとブリストルマイヤーズはSECに提出した買収に関する書類の中でこう述べています。

 

ブリストルマイヤーズスクイブは、CVRをニューヨーク証券取引所へ上場させられるよう最大限努力する。

 

セルジーン提出のDEFM14A p.218 の一部を意訳

 

つまりCVRはNYSEに上場し、投資家たちによって取引される可能性が高いのです。CVRを上場させることは難しいことではなく、事実、セルジーンやサノフィが企業を買収した際に発行したCVRは現在もNYSEで取引されています。なので、今回のCVRも上場する可能性が非常に高いと思います。

 

上場となると、ネット証券のCVRの処理方法には次の3つの方法が考えられ、証券会社が最初の1つ目のパターンを処理方法として選択した場合、投資家は9ドル満額を受け取るチャンスを失います。

 

  1. 市場価格での処理

CVRが市場で取引された場合、日本のネット証券はCVRを市場価格で処理してしまうかもしれません。まあ合理的と言われれば合理的ですよね。

 

上場時点でCVRの条件が成立していない限り、CVRの価格は9ドル以下になるはずですから、日系の証券会社がCVRを市場価格で処理した場合、9ドルを受け取ることは出来ないわけです。

 

では市場価格がいくらになるか。これについては全く見当が付きません。CVRの条件である、3つの新薬の承認プロセスがどの程度進むかによって価格が大きく変わってくるからです。ただ、条件は全く異なりますが、サノフィのCVR価格の推移をみる限り、CVRで受け取れる現金の半値の価格で値付けされれば、良いほうかもしれません。つまり、あまり期待しないほうがいいということです。

 

  1. 0ドルか9ドルか。

2つ目のパターンは証券会社が途中でCVRを処理せずに、CVRの条件が成立すれば9ドル支払われ、CVRの条件が不成立に終われば対価なしとして処理されるパターンです。単純明快ですね。

 

ただ、ネット証券がこの処理方法を選択した場合でも、投資家たちは不利な立場に立たされます。というのも、例えば上場後から数ヶ月はCVRが3ドルで取引されていたけど、結局オプションの条件が成立せず、CVR自体の価値がなくなってしまうということも考えられるからです。つまり、3ドルで売れたはずのものが売れず、何も出来ぬまま腐らせてしまう可能性もあるわけです。

 

  1. CVRの取引に対応する。

これは投資家にとって、最も望ましい処理方法になります。ネット証券がCVRの取引に対応した場合、投資家はCVRを保持するか売却するかを選択できますし、CVRの一部を売って、残りを保有することも出来ますからね。

 

ただ、ネット証券がCVRの取引に対応する可能性は低いと思われます。というのも、もし容易に対応できるのならば、サノフィやセルジーンが発行したCVRが取り扱い銘柄として既に含まれていてもおかしくないからです。

 

まああまり期待するな。

どのようにCVRが処理されるかは、はっきりしていませんし、ネット証券によって処理方法が異なってくるかもしれません。ただ、処理方法がどうであれ、セルジーン投資家はCVRに過度な期待を寄せるべきではありません。そもそもCVRというのは買収側のリスク回避を目的として発行されるものなので、成立する確率が微妙な条件だからこそCVRの条件になっているという皮肉な側面があります。ですので、9ドル貰えたら超ラッキー、市場価格で売却されればオッケー、というスタンスで待つべきだと思います。

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