カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

バフェットのレッドハット株購入の理由を成長性と断言する人は完全にどうかしている

バフェットは常々、「素晴らしい会社に投資する」と発言し、実際に利益率などが高い企業に投資し利益を得ています。しかし、今回のレッドハット株への投資は「素晴らしい企業への投資」とは全く別の戦略である可能性があります。それにもかかわらず、「バフェットがレッドハット株を購入した理由は成長性やクラウド市場の有望性」などと断言している人やブロガーは自分が何も考えていないことを自分自身で示唆しています。

 

現時点では、バフェットがレッドハット株を購入した理由は次に示す2つのうちどちらかと考えられ、どちらの理由で購入したかはバフェット自身が今後発言するか、レッドハット株を購入した日付が明らかにならない限り断言できません。もちろん全く別の理由の可能性もありますが…。

 

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  •  考えられる理由と思惑

バフェットがレッドハット株を購入した理由は次のうちどちらかの可能性が高いでしょう。

 

従来通り、レッドハット株が素晴らしい企業と思って購入した(ブロガーなどが言う通り)。

 

裁定取引を狙って購入した。

 

この2つのどちらかだと思われます。ただ、どちらの理由なのかというのは購入した日付が明らかにならないと分かりません。つまり断言出来ないわけです。

 

  • 分岐点の昨年10月28日

昨年の10月28日。それはIBMRedHatの買収を発表した日です。もし、これ以前に買った場合、バフェットはレッドハットの成長性や、何かに魅力を感じ買ったのでしょう。インサイダー取引でなければ。ただバフェットがインサイダーに関わることはあり得ないでしょうし、今更そのようなことをする理由もないはずです。

一方でもし、10月28日の買収発表後に買っていた場合、裁定取引を狙った購入である可能性が高いです。レッドハットの裁定取引は以前の記事で書いたので、興味がある方は読んでいただけたらと思います。今の状況とは異なる部分もありますが…。

 

www.canary-w.com

10月28日以降に購入したならば、株価と買収価格の190ドルの差を狙ったものであり、「レッドハットの成長性」は投資の意思決定において一切関係ありません。10月28日以降のレッドハット株価は、買収が成立する確率と、買収成立までの時間を織り込んで小刻みな変動を繰り返しながら190ドルに近づいているからです。まあそもそも、買収価格が1株190ドルなのでレッドハット株が190ドル以上に成長することはないですから、成長性などなにもないわけです。

 

ずっと言っていますが、結局購入日が分からないので、「バイホールド」を目的としたのか「裁定取引」を狙ったものなのか分かりません。しかしカナリーは裁定取引の可能性が高いのではと推測しています。というのも、もし10月28日以前にバイホールドを目的に買ったのなら、50%の利益を数週間で手にしていることになり(4Qは10月1日からなので)、たった10%の裁定利益のために、いつになるか分からない買収成立を待つより、手仕舞って他の株に乗り換えたほうが良いのではと考えるからです。上昇余地はIBMが提示した190ドルまでしかありませんし。しかし、バフェットは12月31日時点でレッドハット株を保有しています。ということは買収成立に賭けた裁定取引の可能性が高いのではないかと推測しています。

 

  • バフェットの真似をしようとした人への忠告

もし、「レッドハットは成長性もあるし、バフェットが買ったから自分もバイホールドで買おう!」と思ったのなら、それは非常に愚かなことで、投資判断を完全に誤っています。もし、バフェットがレッドハットの成長性などに魅力を感じバイホールドしたのなら、バフェットは10月28日以前に120ドル前後で買っている可能性が高いです。しかし、今レッドハットの株価は180ドルほどになっており、IBMによる買収発表からおよそ50%値上がりしていますから、状況が全く異なるわけで、今更買っても遅いわけです。

 

また上記の通り、10月28日以降にバフェットがレッドハット株を購入しているのなら、バフェットはバイホールドではなく、裁定取引を目的としているはずですので、成長性に魅力を感じているあなたと、裁定取引を狙っているバフェットとは見ている景色が全く異なっています。そして、勘違いのバイホール投資家は10%未満の上昇余地しかないのに「成長性」を期待してレッドハット株を買っているわけですから、ピントがずれていることになります。

 

つまり何が言いたいかというと、買収不成立にならない限りは、レッドハット株はアービトラージャーIBM買収発表前から株を持っていた投資家のためのフィールドであり、新規のバイホールド投資家が今更上がる土俵ではありません。もしレッドハットの成長性に魅力を感じているのなら、買収成立を信じてIBM株を買うのが正しい判断だとカナリーは思います。

 

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