カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

アメリカの投資銀行株、レバレッジは確かに低い

f:id:Canary-W:20190220021847j:plain

 

 リーマンショック以降、デンジャラス株として恐れられているのが金融株です。金融危機における金融株の暴落は、世界一の落差を誇る滝、エンジェルホールを凌ぐほど凄まじいものがあります。

 

 

さて、そんなアメリカの金融株ですが、カナリーは、アメリカの金融機関、特に投資銀行は現在レバレッジが抑えられている状態なので、リーマンショック前に比べれば安全なのではないかと考えております。といっても、もちろんディフェンシブ銘柄と比べればリスキーですが…。あくまで、リーマンショック前と比較した場合の話です。

 

ということで、投資銀行たちの現在のレバレッジ比率を見ていきたいと思います。今回見ていくのは、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレーとJP モルガンです。レバレッジ比率の定義についてはいろいろ議論があると思いますし、バーゼル規制では細かく考えられていますが、今回は超単純に資産÷純資産で考えていきます。以下が現在の3行のレバレッジ比率です。

 

  レバレッジ比率
ゴールドマンサックス
11.03
モルガンスタンレー
11.00
JPモルガン
10.10

 

こんな感じです。ちょっと余談ですが、日本のメガバンクレバレッジ比率ほうが上の3行より高いのに、ROEは負けているんですよね(笑)。まあ日本の金利が低すぎることが一番の理由だと思いますが…。

 

ではリーマンショック前の銀行たちのレバレッジ比率を見てみましょう。今回は、上で提示した3行に加え、破綻したリーマンブラザーズや危機に陥ったメリルリンチも入れてみました。

  2007 2006 2005
リーマンブラザーズ 30.7 26.2 24.4
ゴールドマンサックス 26.16 23.42 25.24
モルガンスタンレー 33.43 31.70 30.79
JPモルガン・チェース 12.68 11.67 11.18
メリルリンチ 31.94 21.55 19.13

 

現在のレバレッジ比率は10倍ほどですが、この当時は20倍から30倍となっており、今と比べると非常に高い水準であったことが分かります。レバレッジ比率30倍というと、信用取引で100万円の証拠金で3000万の 運用を行う感覚でしょうか(笑)。この当時のレバレッジ比率が高すぎるのか、今が低すぎるのかはさらに過去を遡って調べる必要があるので、また調べてみたいと思います。

 

因みにJPモルガンレバレッジ比率が低いのは、恐らく投資銀行というよりは商業銀行にカテゴライズされるからだと思います。実際にこの当時のウェルズファーゴバンク・オブ・アメリカレバレッジ比率も10倍ほどだったと思います。

 

 

レバレッジ比率をみると確かに金融機関の健全性を確認することは出来ますが、ではそれが金融機関の分析ツールとして精密で完璧かと問われると違うと思います。例えば、モルガンスタンレーとリーマンブラザーズ。この二つの投資銀行レバレッジ比率を比較するとモルガンスタンレーの方がレバレッジ比率は高かったのですが、破綻したのはリーマンブラザーズで、モルガンスタンレーは生き残ることが出来ました。何が言いたいかというと、各行のレバレッジ比率を比較して、どの金融機関が生き残り、どの金融機関が潰れるかを予測するのは不可能ということです。

 

 

と、偉そうに書きましたが、銀行の財務諸表というのはとにかく複雑なので、カナリーも分かっていない点が多々あります。もっと勉強していきたいと思います。

 

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

応援して頂けると嬉しいです!

スポンサーリンク