カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

成長株の転換社債は有利なのでは

ちょっと長いし、ちょっとマニアックです。覚悟してね。

 

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成長株においては、企業の成長に伴う大きな株価上昇というのが大きな魅力であると思いますが、反面、大幅に下落するというリスクもあるわけです。しかしカナリーは最近、転換社債によってこの下落リスクを抑えつつ、成長株の株価上昇の恩恵を受けることが出来るのではないかなと考えております。

 

転換社債はその名の通り、社債に、通常ならば普通株転換権がついているものですから、社債と株式の両方の側面を持っています。一般的には普通株が転換価額を下回っている時点では、社債の特徴を持っており、転換社債自体の価格は下落しにくいと言われています。一方で、普通株の株価が転換価額を超えると、転換社債は株式に転換できるため、転換社債の価格も株式に連動してきます。

 

カナリーとしてはこの転換社債の特徴を利用すれば、成長株投資においてリスクを抑えながら、普通株のバリュエーションを気にせずに投資できるのではないかと思うわけです。ただ、それはどの転換社債でもいいというわけではなく、ごく一部の限られたものになると思いますが。

 

 

転換社債を購入する際はあくまで「社債」を購入するわけですから、投資指標としては普通株のバリュエーション等ではなく、企業財務の健全性と利払いが出来るかどうかが重要になってくるわけです。ここ最近の成長企業、特にIT企業やヘルスケア企業の中にはレバレッジが少ないという企業も結構多く、財務の健全性が保たれているケースも少なくありません。企業によっては、利払いという面で、利益が安定していないため少々不安があるかもしれませんが…。ただ健全性と利払いの2つの基準をある程度満たした企業であれば、「安全な社債」として転換社債を購入できるわけです。つまり、この時点で普通株のバリュエーション等を特段に気にする必要がありません。

 

そして購入後は成長株の上昇を、金利を受け取りながら待っていれば良いということになります。まあ残念ながら低金利の日本の場合はゼロクーポンですが…。ただアメリカの場合はクーポンが付く場合が多いと思います。特に成長株の場合、普通株は無配というケースが多いですが、転換社債の場合、金利を受け取れるのでこの点も転換社債が有利なのではないでしょうか。更に、銘柄にもよると思いますが、増配や配当開始に応じて転換価額が調整される(有利になる)条項が付いているパターンが多いと思いますから、例え転換前に普通株の配当が始まっても問題ないわけです。

 

そして株価が成長株らしく大きく上昇すれば、売るなり、焼くなり、転換するなり、保持するなりすればいいわけです。どうするかはカナリーの知ったこっちゃありません。その時自分で考えてください。一方でもし例え株価が上昇しなくても、企業の財務状態さえ良ければ、転換社債の価格が大きく下落することは考えにくいですから、上昇を諦めて他の証券に乗り換えてもいいでしょうし、金利を受け取りながら満期まで保持してもいいわけです。

 

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さてこの投資はある程度タイミングや銘柄選びが重要になってくると思います。どのようなタイミングが理想かというと、転換社債の価格がなるべく100(発行価格)に近く、なおかつ、なるべく転換社債の価格と理論価値との乖離率が小さいタイミングが理想と言えます。発行価額を大幅に超えた価格で転換社債を手に入れてしまうと普通株と同じようなリスクに身を晒すことになり、転換社債のうまみがなくなってしまいます。かといって、発行価格に近いからと言って、乖離率が大きい時期に買ってしまうと、乖離率の分だけ、株式の上昇の恩恵を捨てることになります。ですからタイミングや、理想的な状態になっている銘柄を選ぶことが重要なわけです。

 

結構メリットが多い転換社債ですが、金利が長期的に急上昇して、同時に転換価額を下回っていた株価が更に下落するという局面はちょっと怖いですね。また、ブラックマンデーの時は、流動性の観点から普通株より転換社債の方が一時的に売り込まれたこともあったようなので、絶対に下落リスクが小さいとは言い切れないようです。

 

ただ投資先の企業の健全性や利払いの基準、そして投資タイミングの条件を満たせば、例えその企業の普通株が投機的に高騰していても、転換社債はかなり魅力的な投資になると思います。

 

と、ここまで頑張って理想論ばっか書きましたが、現実に目を向けると日本でアメリカの転換社債を手に入れるのは、かなり難しいのですよね…。三菱モルガンが売り出していますが、限られた銘柄しか扱っていません。しかも支店で買わなければいけないので手数料をいくら取られるのか、想像しただけで恐ろしいです。恐らく野村や大和でも頼めば取り扱ってくれそうですが、やはり手数料が高そうですよね。どこかのネット証券が大きく取り扱うようになることを祈るばかりです。

 

そしてもう一つ現実的なことを書くと、成長性が見込まれる企業の転換社債は乖離率が大きい時でも債券価格が上昇してしまうことが多いので、価格100近くで買うのはなかなか難しいかもしれません。

 

 

まあ思い付きで書いた部分もあるのでカナリーも今後色々調べていけたらと思います。