カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

営業キャッシュフローだけでは何かが足りない… マイナスαが必要

カナリーはキャッシュフローを見ることは非常に重要であると考えています。お金の出入りを見ることで、企業がどのようにお金を稼いでいるのかが分かりますし、損益計算書の利益が脚色されていることもありますから、キャッシュフローの分析は重要でしょう。そして本業の稼ぐ力を示す営業キャッシュフローを見ていくことは重要であると、もちろんカナリーも思っています。ただ、少し踏み込んで企業を分析する場合、営業キャッシュフローだけでは何かが足りないと思っています。正確に言うと営業CFから何かを差し引かなければならないと考えています。さてなんでしょうか…。

 

それは設備投資費です。なぜでしょうか。

 

営業CFの数値は、企業の営業活動における現金の収支を示すため、お金の出入りが現実的にない減価償却費が足された状態になっています。しかしそれでは、企業がまるで設備投資をしてこなかったようなことになってしまいます。設備投資は企業活動における立派な費用であり、企業が設備投資をしないというのは何か特別な事情がない限り現実的ではありません。例えばインターネット事業を展開していたり、利益になる優れた無形資産を持っていない限り、企業には設備投資が必要です。ですので、営業CFが本当の意味で企業の稼ぐ力を示す指標かと言われると、そうではないとカナリーは思います。

 

ではどうすべきかというと、フリーキャッシュフローと合わせて見ることや、営業CFから投資CF内の「有形資産の取得による支出」を差し引くことが重要ではないかと思います。米国企業の会計であれば「Payments for acquisition of property, plant and equipment」や「Capital expenditure」といったところでしょうか。

 

足された減価償却費をそのままもう一度差し引けば良いじゃないかと思われる方もいらっしゃると思います。確かにその通りですが、減価償却費は企業側がある程度の範囲でコントロールできる数値なので、投資CF内の設備投資にあたる金額を差し引いたほうがより良いのではないかと考えております。

 

最後に話はだいぶ逸れますが、上に出てきた英単語、acquisition(獲得,企業買収)の動詞形であるacquire「アクウァイアー(獲得する)」は、「能力や知識を獲得する」と言いたい時など、めちゃくちゃ使い勝手の良い単語だと個人的に思っております。また恐らくビジネス関連の読み物だとこの単語は頻出だと思います。場面にもよるでしょうが、英語を使う機会のある方はgetばかりを使わず、acquireを代わりに使ってみてはいかがでしょうか。