カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

BUD アンハイザー(バドワイザー)の減配から考える減配リスク

1週間以上も前の話なので、知っている方も多いと思いますが、バドワイザーを製造するアンハイザー ブッシュが減配を発表しましたね。昨年の3.6ユーロから1.8ユーロに減配予定とのことですから、配当が半減することになります。因みにこの減配は為替の影響でドル建てのADRの配当が減っているという意味ではありません。

 

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ロイターは減配理由を新興国市場の事業が不安定であると伝えています。一方でカナリーが読んだ英語版のブルームバーグや、アンハイザー の公式発表によれば、過度なレバレッジ状態、つまり借入過多な状況を改善するために減配するとしています。

 

3Q単体の損益

  3Q 2017 3Q 2018
売上 14740 13282
粗利益 9194 8299
純利益 2582 1614

 

3四半期の損益

  2017年の9ヶ月 2018年の9ヶ月
売上 41844 40369
粗利益 25624 25203
純利益 5913 5219

 

上が直近四半期の売上・利益報告です。見てみると、直近の純利益は大分落ち込んでいますが、売上等がそこまで大きく落ち込んでいる感じはありませんね。(でも10%ぐらい減っていますね。大きいか小さいかの判断は任せます。) 純利益が落ち込んでいるのは、株式報酬のヘッジポジションの損失によるものだとしています。なんかSABとGrupo Modeloという企業の合併時の新株発行に関連するデリバティブ損失とも書いてありますが、正直詳しくはよく分かりません…。また税率も上がっているっぽいので、その辺の影響もあるでしょう。

 

さて、損益計算書を見たカナリーの第一印象としては、そこまでビジネスにおいて重大な問題、つまり「利益が出ない」、「物が売れない」、といった状況にアンハイザーが追い込まれているようには見えないという印象です。まあキャッシュフローを見てみないと分かりませんが…。にもかかわらずアンハイザー は減配するとしています。

 

さてここから学ぶべきことは何かというと、例え、利益やキャッシュフローが安定していて、ビジネス上、大きな問題が無さそうに見えても、バランスシートやレバレッジの問題で減配になるリスクがあるということです。また、もしかしたらアンバイザー の投資家の方の中には「全然問題無いんだから、減配すんなよ!」って思う方もいるかもしれません。しかし例え投資家にとって問題が無くても、取締役が何らかの問題を感じてしまえば、その問題を解消するために減配の措置をとることもあり得るということです。

 

高配当株再投資戦略の方の中には、利益やキャッシュフローの安定性から、アンハイザーに投資した方もいらっしゃると思います。今回の減配を予測するのはなかなか難しかったとは思いますが、この事例からバランスシートをチェックすることの大切さを学ぶとともに、安定企業でも減配することがあるということを肝に命じておく必要がありそうです。

 

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最後に少し話が逸れますが、カナリーの勝手なイメージですが、今回のアンハイザー の決算書をみると至る所にEBITDAの記載があります。このように損益計算書でEBITDAを猛烈に主張してくる企業にカナリーはあまり良いイメージを持ちません。財務状況の悪さを隠したいのか、営業利益ベースでインタレスカバレッジを計算されるとまずいのか、理由は分かりませんがね。財務状況が悪いと言われているソフトバンクもこれでもかとばかりにEBITDAを使ってきますよね…。まあこれはカナリーの勝手な偏見ですけどね。