成長株がみせるプラス営業キャッシュフローの正体 (Dropboxを例にする)
ベンチャー系?の成長企業群の中で、上場当初からガンガン利益をあげられる企業というのはかなり限られてくると思います。例えばテスラやツイッター、スナップショットなどは利益を出せずに苦しんでいますね。しかし、そういった企業の中には利益は赤字だが、営業キャッシュフローがプラスになっている場合があります。一見、営業キャッシュフローがプラスなら、その企業のビジネスがうまくいっているように見えるかもしれませんが、果たして本当のところはどうなんでしょうか?いい例としては最近話題のDropbox 。
Dropboxの損益計算書とキャッシュフローをみると営業利益は赤字だが、キャッシュフローがプラスという状態です。
さて何がDropboxの営業キャッシュフローをプラスにしているのでしょうか?内訳をみると…
株式報酬の金額がなかなか大きく、この金額がキャッシュフロー計算の中で足されているのがわかります。この株式報酬は現金が出ていったわけありません。ですから、株式報酬が既に差し引かれている損益計算書上の利益に対して、株式報酬分をキャッシュフローの中で足してあげなければいけません。なのでキャッシュフローの中で足されます。
つまり営業キャッシュフローは株式報酬を無視した状態になっていますが、ただこれが本当にビジネスの状態や株式価値を反映しているのでしょうか?答えはノーでしょう。株式報酬、つまり株式オプションを将来に権利行使されると株式価値が希釈化されてしまいます。つまり、結局この費用は株主が支払わなければならないコストなのです。それにも関わらず営業キャッシュフローがプラスというだけで、その企業のビジネスが良いと判断するのは投資家として賢明な判断とはいえないでしょう。
さて、もし株式報酬分のプラスがなかった場合、Dropboxの営業キャッシュフローはマイナスになっていたわけです(それを営業キャッシュフローと呼ぶかは別として)。つまり、結局のところ現時点では本業でキャッシュや利益を出している状態ではないということであり、営業キャッシュフローのプラスが営業利益の黒字化を意味するものではないということです。もちろんこれは現時点での話であり、Dropboxが成長できれば黒字化は実現可能でしょう。
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