カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

単利の計算(貯蓄型保険の営業マンから身を守る)

投資をしている方にとっては基礎的なファイナンスの知識なので、あまり役には立たないかもしれませんが、今回は数学が不得意で嫌いなカナリーが単利の計算について書きたいと思います。複利の計算についても書こうかと思ったのですが、色んなサイトで紹介されているし、ご存知の方が多いと思ったので、書くのをやめました。

 

さて、普通の金融商品には金利が書いてあるのに、何でそんなことを書く必要があるのか?と批判を受けそうですが、残念ながら、ある金融商品の広告にはカナリーの経験上、単利が書かれていないことが多いです。その金融商品とは今流行りの一括払いの終身保険(一時払い終身保険)です。まあ商品の特性上、広告には書けないのかもしれないですが…

 

最近、金融機関は高金利の外貨の利率をやたらアピールして、外貨建ての金融商品を勧めてきます。一方で、低金利などの理由から円建ての一時払い終身保険などの広告では、将来に受け取る金額をアピールして商品を勧めてきます。ですので、単利が書かれていないことがあります。この場合、購入者の方は単利を計算したうえで購入を検討すべきだと思います。よく将来受け取る、または増える金額だけをみて、定期預金より良いからと思い込み一括払いの終身保険に加入される方が多いようですが、案外定期預金と利率が変わらないというケースもあるのできちんと単利を計算しましょう。

 

将来受け取る金額(将来価値)から単利を求める方法は一括終身保険をセールスマンから勧められたときに、護身術として役立つと勝手に思っているので、読んでいただけたらと思います。

 

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さて今回は明治安田生命のエブリバディ10を例にして話を進めていきます(今回は利差配当を考慮しません)。

明治安田生命 | エブリバディ 10 - 保険料例

 

エブリバディ10の場合、例えば、30歳女性が1000万円で加入し、仮に、80歳で死ぬと仮定すると、死亡時に受け取れる金額は1076万円です。この場合、単利をどのように求めるかというと、まず支払額と受取額から増加率を求めます。

 

  1. 受け取り金額 ÷ 加入額 = 増加率

         1076万円 ÷ 1000万円 = 1.076

 

上の式で求めた増加率と運用年数(死ぬまでの年数)から単利を求めますが、累乗根を使います。

 

  1. 年数上の式で求めた増加率 – 1 = 単利

          501.076 - 1 = 0.147%

  

エクセルの場合

=1.076^(1/50)-1

 

累乗根は以下のようにIPhoneの横向き電卓ですぐに計算出来ます。

 f:id:Canary-W:20180925174543j:plain

エブリバディ10の例の場合、増加率1.076を入力 → 上画像に示されている赤丸の部分を押す → 年数の50を入力 → イコールを押す → 1を引く。で算出できます。

 

そして80歳で死ぬ場合、0.147%がエブリバディ10の単利となります。このように単利を求めることで、セールストークに左右されることなく、保険と預金の比較も客観的に出来るのかなと思います(保険は保障内容や利差配当があるので、単純に比較はできませんが…)。因みに現在は低金利なので、増加率の1.076から1を引いて、50で割っても近い数字になると思いますが、保険会社が複利で運用していることや、保険ではなく定期預金で運用した場合は複利運用されることなどを考えれば、きちんと累乗根で計算すべきかなと思います。因みに想定する生存年数によって単利は変わり、早く死ねば死ぬほど有利になり、長生きするほど不利になります。更に返戻金の場合は死亡保険金額より不利になるでしょう。

 

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最後に、話は少々逸れますが、エブリバディ10の例のように、年率0.147%という、ネット銀行の定期預金の利率とそこまで違いがなく、1%のインフレが起これば資産価値が目減りする利率にもかかわらず、資産が増えると謳うセールスマンもどうかと思いますし(仕事上、ノルマ等があるのでしょうがないのは分かりますが…)、得をしていると思い込んでいる消費者もどうなのかと正直思います。まあただ保険で安心を買いたい方や保証内容に魅力を感じる方もいらっしゃるでしょうし、相続税で有利になる?(詳しくはカナリーも知らないのですが…)こともあるらしいので、一概には言えませんが…。ただ上記の式で求めた単利と個人的な事情を考慮して検討して頂ければ、書いたかいがあったかなと思います。個人的には保険はリスクに備えるものであり、資産を増やす目的には向いていないと正直思います。