カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

株主優待は費用 ~あなたの財布から出て行っているお金~

株主優待を目的に株式を買っている皆さん、あなたは株主優待のお金の出所について考えたことはありますか?ちょっと考えてみて下さい…

 

 

もちろんですが、企業がお金を払って出しています、例え無料券や、割引券、自社製品でも企業がサービスや商品をあなたに奢っているようなものなので、実質、企業がお金を出しているといえます。気づいていないかもしれませんが、株主優待は基本的に交際費や宣伝費などの費用として計上されます。そして企業の出費=費用のツケは、実は最終的に株主であるあなた自身が払っているのです。

 

具体的な例を日本ギア工業で見ていきましょう。

 

日本ギア工業の基礎データ

株主優待

単元株主数

発行済み株式数

1000円クオカード×年二回 = 2000円

37,851人

14,280,000

 

日本ギア工業(6356)は100株(1単元)保有する株主に1000円分のクオカードを株主優待として年2回提供しています。この企業には1単元以上持っている人が37,851人いるわけですから、日本ギア工業は合計で1000円×2回×37,851人=75,702,000円の費用を年間で払っているわけです。そしてこれを一株当たりの費用で計算すると5.30円となります。つまり、あなたがクオカード2000円分を貰うことで、あなたの投資先企業は一株当たり5.30円を失っていることになります(笑)。何という皮肉でしょうか。株主自らが株式価値を下げています(笑)。一方で、もしあなたや他の投資家が株主優待を我慢していたら、一株当たり5.30円分の営業利益が増え、税引き後の純利益は一株当たり3.23円程増え、な、なんと、直近の一株当たり利益が20%増加したと思われます。これは結構大きいと言えるのではないでしょうか。

 

株主優待の費用

株主優待の合計費用

一株当たりの株主優待費用

75,702,000

5.30

 

もし株主優待が無ければ…

一株当たり純利益

優待なしの一株当たり純利益

増加率

15.29

18.50

20.98%

 

 ここでのポイントは

  1. 株主優待は費用であること。
  2. あなたが株主優待を貰うということは、他の株主も貰っている。つまりあなたが間接的に他の株主の優待費用を負担していること。です。

 

例えば、オリエンタルランドの優待のようなワンデーパスなら、羽振りのいい投資家が、お土産や飲食代で、ワンデーパスに含まれる費用を回収出来る利益をもたらす可能性もあります。ただ、クオカードや自社製品の株主優待は、あなたが他の株主へのツケを払わなければなりません。

 

こう考えると株主優待を目的とした投資は投資利益を減少させてしまいます。もし、優待で貰えるものが欲しいとしても、実質あなたが費用を払っていることに変わりは無いのですから、普通に自分で買えば?と考えています。っていうか株主優待で割引券貰っても結局金使うから意味なくね?とカナリーは勝手に思っています。