低利回り成長株の配当が、高配当株の配当を上回るんじゃないか説
ずっと前に読んだ、フィリップス・フィッシャー著「株式投資で普通でない利益を得る」の中で、「成長株の配当利回りは例え低利回りでも、企業の成長によって最終的には高配当株の配当利回りを上回る。」(P.154から引用、要約)という記述を読み、「なるほどな、今度実例で調べてみよ」と思ったきり、ほったらかしにしてきました。しかし、最近になって思い出したので今回はこの記述について少し考えていきたいなと思います。
今回は「15年前に低利回り成長株と高配当株を買い、保有し続けたら、それぞれの今の配当利回りはどうなっているか」という形で考えていきたいと思います。が、この方法は短絡的だと思いますし、銘柄選定もカナリーの主観です。更に成長株として選んだ株は、「実際に成長した株」であり、「成長に失敗した株」ではありません。投資する時点でその企業が将来どうなるか分からないという不確実性などは無視しているので、今回の記事は参考程度に留めてほしいと思います。
今回成長株としてカナリーが勝手に選んだのはマイクロソフト、ホームデポ、IBM、テキサスインスツルメンツ、ユナイテッドヘルスです。この5社は15年程前、バンガードの成長株のETFに組み込まれていました。ETF内である程度の構成比率を占めていましたので、それなりの大型株として考えられていたと思います。IBMは今では成長株とは言えないかもしれませんが、当時は成長株の筆頭ともいえる存在でしたので、今回選びました。
高配当株はカナリーが勝手にコカ・コーラ、エクソンモービル、ベライゾン、サザン、ゼネラル・ミルズを独断と偏見で選びました。
因みにデータは各企業のサイトから取得しているので、株式分割などは反映されていると思います。
そして成長株と高配当株、それぞれの2003年の初値で手に入れた場合の当時の利回りと、そのまま現在まで保有した場合の、現在の利回りを表にしています。
低利回り成長株
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2003/1/2終値 |
2003年の配当利回り |
2003年に購入していた場合の現在の利回り |
26.86 |
0.00%(無配) |
6.14% |
|
ホームデポ |
24.88 |
0.84% |
16.00% |
80.57 |
0.73% |
7.53% |
|
16.04 |
0.53% |
14.71% |
|
ユナイテッドヘルス |
21.42 |
0.04% |
14.71% |
高配当株
|
2003/1/2終値 |
2003年の配当利回り |
2003年に購入していた場合の現在の利回り |
22.43 |
3.57% |
6.87% |
|
36.00 |
4.28% |
6.56% |
|
35.47 |
2.59% |
8.82% |
|
サザン・カンパニー |
28.98 |
4.69% |
8.07% |
23.83 |
2.35% |
8.23% |
10社を比較しただけですが、フィッシャーの主張はある程度正しいのではないかなと思います。ホームデポ、テキサスインスツルメンツ、ユナイテッドヘルスを15年間保有していたら現在受け取る配当利回りが15%前後になるというのは驚きの結果ですね。ただIBMやマイクロソフトの15年後の利回りは高配当株と遜色がありません。結局のところ15年後の配当利回りは、どれぐらい企業が成長し株価が上昇するかに依存するのかなという感じです。もちろん、15年後にどの企業が大きく成長するかを見極めるのは、非常に難しいですが…。ただ、先に述べた通り、ユナイテッドヘルス、ホームデポ、テキサスインスツルメンツは大型成長株のETFにある程度の割合で組み込まれていましたから、15年前のアップルのように、誰もがノーマークな銘柄ではなかったと思います。
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ところで最近、配当利回りだけに目を向け、とりあえず目についた高配当株を買いまくる人が多いようですが、それは少し違うのかなと…。上の例のように、例え現時点では低利回りの株であったとしても、将来的には企業の成長によって配当利回りが逆転する可能性があることも考慮すべきだとカナリーは思います。
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最後に参考値としてアップルの利回りについても調べ、表にしました。
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2003/1/2終値 |
2003年の購入直前の利回り |
2003年に購入していた場合の現在の利回り |
アップル |
1.05 |
0.00%(無配) |
249.52% |
2003年にアップルを買い15年間保有した人は恐らく強靭なメンタルの持ち主か、アップルの関係者の方のどちらかだとは思いますが、万が一アップルを2003年に購入し、保有し続けた場合、現在250%近い利回りで配当を得ていることになります(笑)。まあ、たらればの話です。
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