カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

インフレに備えて物価連動債を買って債券をショートすることについて考える

「インフレが見込まれるときに物価連動債を買って、債券をショートすれば恐らく利益がでるでしょう。」まあこれは私ではなくバフェットのアイデアです。

 

確か「バフェットからの手紙」に記述があったと思いますが、どのページだか忘れています。すみません…。ただサラッと触れてあっただけだったと思うので、これ以上のことは確か書いていなかった気がします。ですからここからはカナリーの解釈になります。

 

  • とりあえず、物価連動債について

普通の債券は物価上昇時に価値が目減りしてしまいます。しかし物価連動債(インフレ債)は物価上昇に応じて元本が調整されるため、この価値の目減りを抑えてくれます。ただ、インフレになればインフレ債が儲かるというわけではありません。中身は債券ですから金利動向の影響も受けます。また市場は予想インフレ率を予め織り込んでいるため、その予想を超えたインフレが起きないと儲けることは出来ないわけです。まあ少し複雑な金融商品であることは間違いないのですがPIMCOが作成した下の表が物価連動債の特徴をうまくまとめていると思います。

 

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PIMCOの物価連動債の説明サイト

https://japan.pimco.com/ja-jp/resources/education/bond-basic-what-is-inflation-indexed-bonds

 

インフレが進んで、金利が下落するという状況下において、インフレ債はその特徴によってインフレ債自身の価値が守られたり、上昇したりし、更に金利の下落によって債券としての価値も上昇します。つまり二重の恩恵を受けるわけです。このような状況というのは、インフレが進んでいるけど、経済状態が好調とはいえず中央銀行が利上げ出来ないという状態でしょう。個人的な意見ですが日本が今後、物価は上がっているけど、金利が上げられないという状況になる気もしなくはないのですが…。まあそうなると思ったら現時点では物価連動債の投資信託でも買うといいかもしれません。個人向けの物価連動債が現時点で販売されていないので、早く解禁されるといいですね。

 

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  • インフレ債のロングと債券のショート、カナリーの解釈

インフレ債を買い、仮にインフレが進行していっても、金利が上昇してしまえばインフレ債も債券ですから価値が減ってしまいます。ここに債券をショートする意味があります。「インフレ債のロング」+「債券ショート」を組み合わせれば、例え金利が上昇しても、「債券ショート」のポジションが金利上昇に伴うインフレ債の価値の減少をヘッジしてくれる役割を持ちます。つまりこのポジションは金利変動リスクをヘッジして単純にインフレ進行に賭けるポジションなのです。またインフレ進行と金利上昇が同時に起こり、債券価格の下落がインフレ債価格の下落より大きければ、その分が利益となります。ただ、もしインフレ進行と金利上昇がセットで起こると予測するなら、債券のショートポジションのみがもっとも効率的に利益を得られるのではないかとも思いますが…。

 

  • これを個人でやる意味があるか。

と聞かれると正直あまりない気がします。そもそも債券のショートポジションを作ることが個人にとって難しいです。債券ショートには債券の先物空売りといった方法が考えられますが、一般個人がこのマーケットにはアクセスできないと思います。恐らくIB証券ですと先物空売りの両者ができますが、1回の取引量が1000万円ぐらいの大きさになるので、レバレッジを効かせるにしても現実的ではないかなと思います。あとCFDやETFを使ってショートすることも出来そうですが、恐らく手数料やら取られると割に合わないかと思います。

 

と色々考えてみると単純に株を買ったほうがいいと思います。しかし、アメリカでは1970年代に深刻なインフレの進行と、株価の停滞が重なったという歴史がありますから、投資アイデアとして覚えておいても損はないかと思います。またオンライン証券がどんどん発達し、個人投資家が昔出来なかったことが、現代では出来るようになりました。今後オンライン証券が更に発達すればこのアイデアが使える日も来るかもしれません。

 

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少し話は逸れますが、カナリーとしては、投資家にとってこのような投資アイデアの引き出しをたくさん持っておくことは大切だと思っています。もちろん、個人投資家にとって「実行可能なアイデア」というのは、資金量やマーケットへのアクセスという点で非常に限られてきます。しかし、そうした「頭の中の引き出し」が、厳しい相場に対して上手く立ち回れるヒントを与えてくれるとカナリーは信じています。ですから、日々勉強というのが大切なのではないでしょうか。

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