P&G ジレットを減損するかもしれない
P&Gは今年8月に公表している10-Kの中で、P&Gが持つシェービング部門とジレットののれんに減損リスクがあることを明かしています。まあこれは2年前から公表されていますが。
減損とは乱暴に言ってしまえば、帳簿簿価(今回で言えばジレットの資産やのれん)を公正価値(将来キャッシュフローなどを考慮した価値)が下回った場合、下回った分だけ損失計上するものです。
一方で公正価値が帳簿簿価を上回っていれば減損はないわけです。P&Gによれば、他部門の公正価値はそれぞれの部門の帳簿簿価の2倍以上あるため減損リスクは特にありません。しかしジレットとシェービング部門の場合、公正価値は帳簿簿価をわずか10%しか上回っていないようです。ざっくりしたイメージはこんな感じでしょうか。
2016年の段階では公正価値が帳簿簿価を上回る分は20%であるとされていました。しかし今年はその上回る分、つまりクッション分がわずか10%になってしまいました。これは、ジレットやシェービング部門のビジネスが、買収時の見込みより上手くいっておらず、公正価値が目減りしてきていることを示唆しているのでしょう。実際にP&Gは他社との競争や髭剃り習慣の変化によってシェービング事業が成長できてないと主張しています。どちらかといえば、シェービングのビジネスが悪化しているというよりは、買収時に高値で買いすぎたのかもしれませんが。
さらにP&Gは親切心で色々書いてくれています。まず、シェービング部門とジレットののれんは、195億ドル、157億ドルであること。そして公正価値の計算に使う割引率と将来の見込み成長率の変化によって公正価値がどのくらい目減りするかを表にまとめてくれています。
まあ残余成長率というのは将来の見込み成長率だと考えればいいと思います。この表は公正価値の算出に使う割引率が0.5%上昇した場合、公正価値が7%目減りし、見込み成長率が0.5%減少した場合、公正価値が10%目減りすることを意味しています。見込み成長率って結構変わるような印象を受けますが…。そう考えると、ジレットの減損はそう遠くはないかもしれません。
(P&G 10-K 2018 p.29-30を引用)
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