カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

RHT RedHadが残す残飯7%

来年にIBMに買収される予定のRedHatIBMはこのディールで、レッドハット株を1株当たり190ドルで買い取るとしています。

 

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ですがRedHatの株価は現在177ドル近辺で推移しています。つまり、買取価格との間に、約7%のスプレッドが存在しており、買収が成立した場合、この7%を取ることができます。人が残した飯を食うような、または残り物を食べるようなイメージがあったのでこのスプレッドを残飯と呼びました(言葉選びのセンスがなくてすみません)。

 

ただ、無リスクで7%をとれるわけではありません。買収が成立しないリスクも当然あるわけです。

例えば…

 

司法省か連邦取引委員会独禁法を理由に買収を阻止するリスク

アメリカの場合、企業の買収の際には基本的に独禁法の審査を通らなければなりません。もちろん、今回のレッドハットの買収案件も審査されています。この審査によって司法省か連邦取引委員会が買収をブロックした場合、買収は成立しませんので、この部分がリスクになります。

 

独禁法上に問題がある場合、司法省か連邦取引委員会は買収発表後の30日以内に、その旨を企業に通知します。一方で、特に問題がない買収案件の場合、司法省や連邦取引委員会は何も言ってきません。この場合には、企業は司法省や取引委が何も言ってこなかった旨を投資家に発表することが多いです。しかし、レッドハットとIBMは買収発表後から30日経っている現時点でも、このような発表をしていません。つまり、司法省か連邦取引委員会が、今回の買収案件を入念に審査をしている可能性が極めて高いと思われます。もちろん、「入念な審査」の後に承認するケースが多いですが、個々のビジネス事情によって判断が変わるのは言うまでもありません。

 

中国当局によるブロック

中国にも独占禁止法はあり、これを審査する当局があります。IBMもレッドハットも中国でビジネスを行っている以上、中国独禁法の審査が必要になってくる可能性が非常に高いと思われます。この点もレッドハットの買収においてリスクとなります。今年、クアルコムはNXPセミコンダクターの買収を企てましたが、中国の独禁法審査が長引き(わざとかも)、買収を断念しています。中国当局外資系の独禁法審査に厳しいといわれていますから、この点も不安材料です。ただ最近、ディズニーとフォックス、ユナイテッドテクノロジーとロックウェル・コリンズ(軍事産業関連の買収案件だったにもかかわらず)の買収を認めましたから、大きく心配する必要はないかもしれません。

 

もちろん、中国以外にも両社がビジネスを展開する各々の国の独禁法審査をクリアする必要があります。

 

レッドハット株主の不承認リスク

レッドハットの株主が株主総会で買収に反対する可能性がないとは言い切れませんが、あれだけのプレミアムを頂戴して、買収に反対するのは少し考えにくいと思います。ただ一応不確実要素の1つです。

 

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ダウンサイドリスク

買収が成立しなかった場合、RedHatの株価は買収発表前の株価の120ドルまで落ちる可能性があります。もしかしたらもっと落ちるかも。そうなった場合、一瞬にして37%以上の損失を被ることになりますから、この点もリスクのひとつでしょう。ただ、IBM以外にも、買い手として名乗りを上げた企業があったという噂がありましたから、万が一、買収不成立となったとしても新たな買い手がつくかもしれません。

 

これらは主なものですが、他にも小さいリスクはありますし、予想外のこともあるかもしれません。

 

このようなシチュエーションは、当たり前ですが買収までの期間が短ければ短いほど良く、これを考慮して年率換算します。ただカナリーの現時点の考えとしては、年率リターンが魅力的ではないと考えているため、特に何もしていません。まあ時間がたてば、年率リターンも増え、考えも変わるかもしれませんが。でもマーケットの状況(金利やマーケットの暴落等)に左右されるものではないので、最近の下落に嫌気がさしている投資マニアにはいいかもしれません。ただちょっと無責任ですが、ここからの、調査、判断、意思決定は皆さんにお任せします。銘柄推奨ではなく、あくまで面白い例の紹介と捉えていただきたいと思います。

 

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