カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

噂に賭けるということ

先日、保険ブローカー大手のAONが、こちらも同業大手のウィリス・タワーズ・ワトソンを買収予定であるとの憶測が大手メディアを中心に流れました。AONといえば、数年前までイングランド名門のサッカークラブ、マンチェスターユナイテッドの胸スポンサーだったこともありますね(サッカー詳しくない人、すみません…)。ウィリス・タワーズ・ワトソンについては、名前は聞いたことがありますが、よく知りません。

 

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さて憶測が流れた後、被買収側のウィリス・タワーズ・ワトソンの株価は、

 

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 5日に上昇し、

 

一方の買収側のAONは

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ズルズル下落しました。7%以上の下落でしょうか。AONが下落した理由は、合併が株式交換で行われると推測されていたからでしょう。

 

この噂に乗った投機家は、買収合意を期待してウィリス・タワーズ・ワトソンを買ったか、AONをショートしたか、または両方を組み合わせたかで爆益を狙ったわけです。さて結果はどうなったかというと…。

 

 ウィリス・タワーズ・ワトソン

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下落…

 

AON

 

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上昇した…。空売りした人は損したということです。

 

AONは噂が流れた後、買収計画が初期段階であることを一旦は公表したものの、結局両社は買収計画を進めないことを再度発表しました。その結果、双方の株価は噂が流れる前の水準に戻る動きになったため、結果的に投機家は損を出してしまいました。

 

噂に賭けた場合、噂が当たれば投機家に爆益をもたらす可能性があるわけですが、一方で噂が真実ではなければ、当たり前ですが損をするわけです。また今回のように買収交渉の噂は真実だけれども結局、買収合意に至らないというケースも数多くあります。噂の段階や買収合意が正式発表される前において、買収成立を予測してお金を賭けるということには非常に大きなリスクがあることをくれぐれも忘れないようにして下さい。まあ当たり前な話ですよね…。

 

このように警告しておきながら、カナリーは時々買収の噂や憶測を記事にしたり、このページに載せたりしています。傍観しているだけなら面白いので。興味がある方はご覧ください。

 

最後に少し豆知識的な話をしますが、ウィリス・タワーズ・ワトソンが本社を置くアイルランドやイギリスでは、個人投資家を保護するため、買収に関して事細かに規制があり(イギリスではシティ・コードと呼ばれている)、今回のように買収の噂が流れた企業は必ず噂に対する回答を公表することが定められています。ですから、両社は今回の噂に対して即座に反応したわけです。アメリカではこのような定めが無かったり、買収に関する規制も緩いのでインサイダーを楽しむ大口投資家も存在しますが、アイルランドやイギリスにおいては個人投資家が比較的フェアに扱われています。特にイギリスは個人投資家思いのところが結構あるので、日本も是非参考にしてほしいなとカナリーは思っています。

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