カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

PFFについての記事を書く人は優先株について無知である

ちょっと過激なタイトルにしましたが、カナリーはPFFについての記事を書いた人が、優先株について、実はあまり詳しくない、もしくはあまりよく考えていないのではないかと思っております。彼らの多くは「優先株の残余財産の受け取り順位が普通株に対して優位であること」をメリットとして誇らしげに掲げていますが、これは彼らが優先株について深く考えていない何よりの証拠となります。

 

結論から言ってしまえば、「残余財産の受け取り順位が優位であること」はメリットと言えるほどの価値がありません。PFFに投資するならなおさらです。これは前の記事から主張している通りですが、今回はこの点を更に深堀します。

 

確かに、法律上、優先株主は普通株主に対して、先に残余財産を受け取ることができます。確かにそうです。ただこれは教科書的な考えではないでしょうか。なぜか。普通に考えればわかると思うのですが、企業が破綻した際に、株主が残余財産を受け取ることは稀だからです。優先株普通株には優位ですが、手形保有者、社債保有者、銀行等の債権者には劣後します。企業が破綻する際、債権者でさえ元本を受け取ることが難しくなるにも関わらず、債権者に劣後する優先株主がどのように残余財産を受け取るのでしょうか?極端な話、優先株主が残余財産を易々受け取れるなら、債券投資なんかほとんどの場合、無リスク投資になってしまいます。つまり、この「残余財産受け取り順位の優位性」はメリットとして挙げるほどの価値はなく、企業破綻の際は、普通株と同じ程度のリスクを負うことになるのが一般的です。

 

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更に、カナリーとしては、これをメリットとしてPFFの紹介記事の中であげるほどタチの悪いことはないと考えています。PFFは現在、金融機関の優先株の集まりとなっている状況です。さて、その金融機関が破綻した際に、株主は残余財産を貰えるのでしょうか?恐らく貰える確率は非常に低いはずですし、普通の事業会社より残余財産を受け取る確率は更に低いでしょう。金融機関、例えば銀行が破綻する際に株主に財産が分配される状況なら取り付け騒ぎは起きないですし、預金者が銀行の前に並ぶ必要はありません。銀行への貸し手である預金者ですら不安な状況に晒される(一応保護されますが…)状況なのに、株主に財産が分配されることは基本的にありえないでしょう。実際、リーマンブラザーズが破綻した際には、債権者も損失を被っているわけですから。例え万が一、債権者が元本を満額受け取れ、財産分配があったとしても、微々たるものであり、優先株主が大損失を免れることは出来ないでしょう。

 

強いて言うなら、「残余財産受け取り順位の優位性」が優先株主にとってメリットとなるのは企業が破綻した時ではなく、バランスシートが健全な企業が清算・解散した時でしょう。しかし金融機関の場合、事業の特異性から、解散の道を選んだとしても解散の道を選択するような状態で株主まで残飯が回ってくる可能性は極めて低いのではないでしょうか。

 

恐らくPFFの記事を書いた大半の人は、優先株についてよく考えず、他のサイトに書いてあることをそのまま書いたのではないでしょうか。

 

さて、ここまで読んで頂き、PFFについて書いたブロガーの方の中には「PFFETFなんだから、残余財産のことなんか気にするカナリーの頭がおかしい」と思う方もいるでしょう。しかし、残余財産の件がETFにとって無意味なものなら、「そもそも”残余財産受け取り順位の優位性”をPFFのメリットであるかのように書くな」と言い返したいぐらいです。もしブロガーの方々が、優先株について深く考えているのなら、「優先株の残余財産受け取り順位が普通株に対して優位であることはPFFにとっては意味がない」と記事の中で付け加えられるはずです。

 

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