JTだけではない、タバコ企業への訴訟
昨日だか一昨年にJTは1480億円ほどの損害賠償をカナダで命じられました。まあ時代の流れってやつでしょうか。タバコ企業にとって訴訟はビジネスを続けていく上で避けては通れないハードルとなっており、フィリップモリスインターナショナル(PMI)やブリティッシュアメリカンタバコ(BAT)も沢山の訴訟案件を抱えています。
PMIが抱える訴訟件数
訴訟分類 |
件数 |
健康被害を訴える個人訴訟 |
55 |
10 |
|
喫煙に関わるヘルスケア費用の補償請求 |
16 |
商品表示に関する集団訴訟 |
1 |
商品表示に関する個人訴訟 |
7 |
喫煙全般に関する訴訟(反対運動のようなもの) |
2 |
(PMI 10-K p.96より引用)
上の表は2019年2月時点でPMI(フィリップモリスインターナショナル)が抱えている訴訟案件の数です。JTが抱える訴訟件数は約20件と言われていますが、PMIの訴訟件数はJTの件数を大幅に上回っています。まあマーケットシェアが大きいから訴訟件数が多いのかもしれませんが…。訴訟が起こっている国は主にカナダ、アルゼンチン、ブラジルなどです。あ、先に言うべきことだったかもしれませんが、今回賠償命令を受けたJT子会社のJTIマクドナルドの訴訟案件ではPMI子会社のロスマンズ-ベンソン・エンド・ヘッジとインペリアルタバコも被告となっており、賠償命令が出ています。PMI投資家も他人ごとではないので、心に留めておいてください。
BATの訴訟
訴訟分類 | 件数 |
集団訴訟 | 15 |
個人訴訟 | 116 |
上の表はBATのアメリカでの訴訟を除いた訴訟件数となっています。PMIと同様にブラジルとカナダにおける訴訟が多く、更にイタリアでも24件の個人訴訟を起こされています。
BATのアメリカでの個人訴訟
正直、量の多さと複雑さでカナリーの理解が追い付いていません。すみません…。BATはタバコの健康被害に関する個人訴訟の数は99としていますが、他の事案でも訴訟を起こされており、その合計数は5061件になるようです(BAT annual report 2017 p.177内の表から算出)。さすが、訴訟大国ですね…。ただ個人訴訟なので、この件数は増減することが多いらしいです。詳しく知りたい方は、BATのアニュアルレポートに色々書いてあるので読んでください。
訴訟件数だけで考えれば、PMIはアメリカでの訴訟がないので安心感はあります。ただ訴訟件数が例え1件でも、賠償金額が大きければタバコ企業に大きなダメージを与えますから、件数だけでは判断しきれないでしょう。
タバコ企業はこれまで多方面から訴えられながらも生き延びてきたので、将来を楽観的に考えている投資家が多いです。カナリーもその一人ではありますが、法律や裁判所の判断も時代の変化とともに変わっていくことがあるので、タバコ株投資家は訴訟リスクを、きちんと”リスク”として捉えておく必要がありそうです。
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