カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

BTI 超高配当BATの株価・業績・現状を分析してみる

イギリスのタバコメーカーであるブリティッシュ・アメリカン・タバコ(以下BAT)。2018年の年から下落を続けていましたが、ここ最近、上昇に転じてきています。そんなBAT株をカナリーなりに分析してみました。

 

 

  • BAT株の現状と株価

  • 指標

2019年3月現在のBAT株(NYSE上場のADR)の主な指標は以下の通りです。

 

直近配当額: 2.644ドル

配当利回り (株価40ドル): 6.61%

・EPS: 3.87ドル (1ドル = 0.76ポンド), 2.967ポンド

・PER(2018年ベース): 10.33

 高配当株投資家に人気だけあって配当利回りは非常に高いです。

  • 株価

まずは長期的にみていきましょう。

 

f:id:Canary-W:20190308154331p:plain

2,3年前まで、リーマンショック時を除けば順調に右肩上がりで来ましたが、ここ1,2年で大きく下落しました。この下落のインパクトはなかなか大きいように見えます。

 

続いて直近1年のチャート。

 

f:id:Canary-W:20190308160111p:plain

 

1年で見ていくと、ここ最近まで右肩下がりであったのが分かります。しかし、ここ1ヶ月ほどから反発しているように見受けられます。

 

  • 業績

 続いてBATの過去5年間の業績を見ていきたいと思います。売上、営業利益と純利益はこのようになっています。

 

f:id:Canary-W:20190308163049p:plain

タバコ企業によっては売上の数値がたばこ税控除後になっているものと、たばこ税込みになっているものがあるのですが、今回のBATの売上はたばこ税控除後になります。また2017年のEPSが以上に大きくなっていますが、これは2017年にレイノルズ社の買収に関連した利益と、アメリカの減税政策による利益によるものです。通常のビジネスから得た利益ではないので、この2017年のEPSはあまり参考にするべきではないと思います。

  • 各タバコメーカー株との直近1年のパフォーマンスを比較

昨年の暴落時には、タバコ株の中で、BATの株の下落幅が最も大きいと言われていました。実際にどうなのか。2019年2月までの直近1年の各タバコ株のパフォーマンスをグラフで示してみました。

 

f:id:Canary-W:20190223133820p:plain

為替はこのチャートでは加味していません。なので、一応BATについてはロンドンの株価もグラフに入れてみました。ここ1年、タバコ株については思わしくない結果となっていますが、とりわけBATについては30-40%も下落しており、タバコ株の中では最もパフォーマンスが悪い状況です。ただ、2019年に入ってからは反発しているので、1ヶ月間のパフォーマンスを比較すると異なった景色が見えるかもしれません。

 

  • これまでの下落の要因について考える

 

  • ブレクジットのせいにしてはいけない!

ブリティッシュアメリカンタバコ株が下落を続けていた頃、「下落要因はブレクジットだ!」という意見が散見されました。ただ、ブレクジットのせいにしてはいけないというのがカナリーの意見です。というのも、もしブレクジットが大きな下落の大きな要因であるのなら、インペリアルタバコの株価も下落すべきだと思うからです。BATの一人負けの大きな要因はもっと別の場所にあるのではないかとカナリーは考えています。

 

  • 米国でのメンソールタバコの規制

これについては米国株投資家の方もご存知かと思います。昨年末にFDAがメンソールタバコの規制を提案しました。ブリティッシュアメリカンタバコは米国での売り上げの多くをメンソールタバコに頼っています。もし、メンソールタバコが規制されてしまうと、ブリティッシュアメリカンタバコは打撃を受けてしまいますから、この点を恐れて投資家がBAT株を売り込んだと思われます。

 

もちろん、これが下落の最も大きな理由だと思われますが、BAT株はFDAの提案以前から下落を続けていました。ですから、カナリーは「メンソールタバコの規制」以外にも要因があるのではないかと考えていました。それがこちら。

 

  • 単純に発行済み株式数が増えたから 

BATは2017年にレイノルズを現金とBAT株の交換で買収をしています。その結果、買収前まで18億だったBATの発行済み株式数は現在2,2億と約1.2倍に増えているわけです。株式数が20%増加するというのはその分だけ株式の価値が希釈化されているわけですから、株価が大きく下がるのは当然と言えるでしょう。ただ確かに一昨年の7月の出来事ですから、そこから株価が下がるのは別の要因だとの反論もあるでしょう。しかし、株式価値を希釈化してまで行った買収の効果が低ければ、株価が更に下がるのは必然ではないでしょうか。希釈化しているわけですから、企業は以前より利益率や資本効率性を向上させないと株主は納得できないと思います。まあ、レイノルズの買収がどう評価されているのかよく知りませんし、株価も気まぐれな部分があるので、明確な理由を見出すのは難しいですが…。ただ株式数が大きく増えているのは確かですから、業績が買収前の予測より伸びなければ、株式数が増えていないフィリップモリスやアルトリアと比較して株価が下がっていたのは仕方がないとカナリーは思います。

 

BATはタバコ企業ですから、潤沢なキャッシュを安定的に生むことが可能です。ですから、株式数をこれ以上増やさず、安定的にビジネスを続けていければ、株価はまた上昇基調に戻っていくのではないでしょうか。もちろんそれに伴って自社株買いもしてくれれば最高ですね。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

応援して頂けると嬉しいです!