カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

1ドル60円になったらどうなるか。

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先日読んだこの記事。

www.bloomberg.co.jp

 

カナリーにとって非常に興味深かったです。この記事内では、ゴールドマンサックスのストラテジストのジメルカさんが、将来仮に不況となりアメリカの中央銀行金利を引き下げた場合、円が強くなって最終的に1ドル60円に到達すると予測しています。

 

金融に絶対的な相関というものはないとカナリーは思っていますが、それでも、円高と同時に株安、株安と同時に円高という現象は起こりやすいと言えるでしょう。ということで今回はもし現在の状況から、リーマンショック時のような株価下落と同時に1ドル60円に到達した場合に円換算でどれだけ資産を失うのかを計算してみました。まあこんなの誰でもすぐ計算できそうですが…。ただネガティブなことを率先して計算する人はあまりいないと思うので、カナリーが皆様の代わりに計算してあげました(笑)。

 

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今回はダウ平均でシミュレーションしていきます。前々日の終値は25835.72ドル。終値が付いたタイミングで1ドルは111.84円だったので、111.84円をダウ平均25835.72ドルに乗ずると、円建てのダウ平均は2,889,466.92円となります。

 

次に株価の下落を考えていきます。リーマンショック時、2007年10月12日を頂点とし2009年3月6日を底とした場合、52.98%下落しています。ですので、今回はこれと同じぐらいの53%の下落が起こると考えます。

 

さて、ここまでのシミュレーション条件を整理すると、

 

前々日の25,835.72ドルから53%下落すると同時に1ドル=60円になる。

 

という条件です。

 

そしてこの条件の結果はこうなります。

 

ダウ平均: 12,142.79ドル

円建てのダウ平均: 728,567円

円換算での下落率: 74.8%

 

下落率を算出した瞬間、どこか間違えたかと思いましたが、合っていると思います(笑)。計算方法も含め、お前計算間違っているよ、と思った方はお知らせください。

 

恐らく53%のダウ平均の下落と1ドル=60円の円高が同時に起こるリスクというのは、現時点ではテールリスクに分類されるほど低いとは思いますが、それでも0ではないはずです。ですがまあ、アメリカ企業が着実に成長していく可能性を考えれば、耐え忍ぶというのも懸命な選択の一つでしょう。しかしそれでも、私たちが日本において円を使って生活しているなかで、円換算で74.8%も資産が減少すれば、精神的に落ち込み、投げ売りしたくなるかもしれません。

 

 

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  • ちょっとリアリティがあるシナリオ

このブルームバーグの記事が飛ばし記事なのか、ジメルカさんがどの程度本気で考えているのかは分かりかねます。ただ、1ドル60円まで行くかは置いておいても、この記事で触れられている、日本の銀行たちが保有するドル建てのレバレッジというのは恐ろしいものだなと思いました。そして、このレバレッジ円高の要因になるというストーリーはちょっとリアリティがあるなとも感じています。

 

というのも、もし円高が起きても、我々のように純資産で米国株を運用している投資家にとっては、ドル資産を保有して耐え忍ぶというのも一つの選択肢です。しかし、レバレッジで運用している銀行にとって耐え忍ぶということは極めて難しいです。放っておけば損失は大きくなり、資本の比率が低下してバランスシートが傷ついてしまうからです。ジメルカさんは恐らく、日本の銀行が持つドルのレバレッジが、円高によるリスク回避の動きで円に転換されれば、さらに円高が加速し最終的に1ドル60円になる、と言いたいのだと思います。カナリーの理解が正しければね。そしてもし、この円高が進む過程で、それなりの大きなレバレッジをもつ銀行がドル資産から逃げ遅れたらと考えると…、怖いですね。日本経済にとっては厳しいことになるかもしれません。もし本当にこのようなことが起きれば、これこそがマイナス金利の副作用かもしれませんね。まあ日本の銀行が上手くやってくれることを信じています…。

 

と、いっても、1ドル60円というジメルカさんの予測はアメリカが利下げをするほどの不況になるというのが前提条件なので、確率で考えれば低いのかなとは思います。ただ頭に入れておくことは大事かなと…。

 

ということで、ここまで書いてきました。週刊誌のように読者の不安を煽りたくはなかったのですが、カナリーの興味本位で書いてみました。

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