カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

個別株への超長期投資の難しさを改めて思い知る(1978年のダウ構成銘柄をみて)

先日、カナリーはふと、「40年前の大型株とはどういった企業だったのだろうか」と気になりました。というのも、もし「超大型株に投資してほったらかしにしておけば良い」という主張が合っているのなら、40年前の超大型株の多くはダウ平均と同じくらいか、もしくはアウトパフォームしていてもおかしくないと思ったからです。そこで40年前、つまり1978年のダウ構成銘柄を調べてみました。今とは全く違う顔ぶれになっており少々驚きました。まあ合併等で会社名が変わったというのもありますが。そしてこれらの企業の1978年から現在までの40年間のパフォーマンスをダウ平均と比較してみました(配当再投資は考慮していません。ちょっと大変なので)。

 

1978年のダウ構成銘柄とパフォーマンス比較

Allied Chemical Corporation
(現ハネウェル)

General Foods Corporation
(現クラフトハインツ)

Owens-Illinois, Inc.
(オーウェンズ・イリノイ)

Aluminum Company of America
(現アルコア)

General Motors Corporation
(ゼネラル・モーターズ)

The Procter & Gamble Company
(P&G)

American Can Company
(現イギリスのRexamの子会社)

Goodyear Tire and Rubber Company
(グッドイヤー)

Sears Roebuck & Company
(シアーズ)

American Telephone and Telegraph Company
(AT&T)

Inco Limited
(現ブラジルのValeの子会社)

Standard Oil Co. of California
(現エクソンモービル)

American Tobacco Company (B shares)
(現ブリティッシュアメリカンタバコの子会社)

International Business Machines Corporation
 (IBM)

Texaco Incorporated
(現シェブロン)

Bethlehem Steel Corporation
(現アルセロール・ミタルの子会社)

International Harvester Company
(現Navistarだがちょっと経緯が複雑そう)

Union Carbide Corporation
(現ダウデュポンの子会社)

E.I. du Pont de Nemours & Company
(現ダウデュポン)

International Paper Company
(インターナショナルペーパー)

United States Steel Corporation
(USスチール)

Eastman Kodak Company
(イーストマン・コダック)

Johns-Manville Corporation
(現バークシャーハサウェイの子会社)

United Technologies Corporation
(ユナイテッドテクノロジーズ)

Exxon Corporation
(現エクソンモービル)

Merck & Co., Inc. 
(メルク)

Westinghouse Electric Corporation
(ウエスチングハウス)

General Electric Company
(ゼネラルエレクトリック)

Minnesota Mining & Manufacturing Company
(現3M)

F. W. Woolworth Company
(現フットロッカー)

緑;対ダウ平均にアウトパフォーム

赤;対ダウ平均にアンダーパフォーム

青;この40年の間に破産した企業

黒;買収されたり、再上場したりしている企業で、面倒くさそうなので計算しなかった企業。気になる方は自分で調べてください。

AT&Tは会社分割のため1984年を起点に株価を比較しています。

(Wikiを参考にしたため、間違いがありましたら教えてください。ダウ平均とのパフォーマンス比較はグーグルとiPhoneの株価アプリを使っています。)

 

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カナリーの感覚ですが3M、スタンダードオイル、テキサコは40年間配当を再投資していた場合、ダウ平均を上回るかもしれません。ただこう見ると、当時の超大型株の多くは現在ダウ平均をアンダーパフォームしています。つまり40年前の超大型株を買い持ちしただけでは、ダウ平均を上回るのがいかに難しかったのかがよく分かります。一度破綻している企業もありますからね…。この40年間、ITなどの新しいモノが産業を変えてきましたし、金融セクターやサービス業も大きく成長したことでしょうから、1978年のダウ銘柄のような「典型的な製造業」にとっては、ダウ平均をアウトパフォームするのが難しかったかもしれません。それにしてもコカ・コーラキャタピラーが入っていなかったのは意外でした。

 

このような結果を踏まえると(本来もう少しきちんと調べなければいけませんが…)、インデックス投資における「勝手に銘柄入れ替え機能」は大きな強みかもしれません。インデックスは産業の流れに沿って元気な大企業を取り込み、弱った企業を除外していきます。1978年のダウ銘柄の多くがアンダーパフォームしている一方で、ダウ平均自身は上昇を続けていることを考えれば、こうした循環機能によって新たに取り込まれた企業の株が株価指数を押し上げ、株価指数上昇に大きな役割を果たしているのは間違いないと思います。

 

個別株投資をしている方にとっては、やはり自分のポートフォリオを常に監視していくことが重要なのではないでしょうか。短期間でコロコロ銘柄を入れ替えることにはカナリーも反対ですが、かといって現在の超大型株を何十年も持ち続けようとしても、その超大型株が10年後、20年後も超大型株であるとは限りません。ですから、投資家は自分で買った株をほったらかしにせず、定期的にポートフォリオを見直していくということが大事なのではないでしょうか(この点が投資において最も難しい部分の一つでしょうけど)。