カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

AAPL アップル 成長株から株主還元株への意思表明

先日、大規模な自社株買い実施を発表したアップルですが、カナリーはアップルの10-K内の、ある1つの文章に興味をそそられました。この1文は株主還元の項目に書かれていたものです。この文に対して「そんなん分かっとるわ!」と突っ込まれるかもしれませんが…。 以下がその文章です。

 

The Company plans to continue to access the domestic and international debt markets to assist in funding its capital return program.

 “アップルは株主還元プログラムを支える為、国内と海外の借入市場(債券市場等)へのアクセスを継続する予定だ。(つまり株主還元の為に借り入れを継続する予定であるということ)”

(引用; Apple Inc. , 2017 Form 10-K p.31)

 

これまでも、そして今もアップル株を成長株として認識している方もいらっしゃると思いますが、アップルが成長株であれば10-Kにこのような文言は書けないのではないかと思います。というのも、ご存知の通り、成長株と呼ばれる企業は基本的に利益を内部留保し、内部留保を使って再投資して、事業を拡大させていくからです。つまり株主還元(自社株買いや配当)は重視されません。そしてもし成長企業が社債発行や銀行借入をするなら、株主還元ではなく、真っ先に事業に投下するでしょう。例えば成長株の代表であるフェイスブックやアマゾンが株主還元を実施した話は今のところ聞いたことがありません。

 

しかし、アップルは継続的に自社株買いや配当を行う企業のように、借入金を使って株主還元をする気持ちがあると表明しています。つまり、これはアップルの経営陣が、今後、成長企業としてではなく、株主還元企業として振舞う意思を示しているとカナリーは思っています。またカナリーの記憶(容量が非常に小さい)の中では10-Kで、借入を使った株主還元の意思表明をする企業は少ないと感じていますので、アップルのこの1文は非常に力強いメッセージだと思っています。

 

※投資は自己責任でお願いします。

※本文はアップル社の今後の株主還元を保証するものでは一切ありません。

※意訳は正確を期すよう努力しておりますが、引用された本文をご自身で再度確認することをお勧めします。