カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

リーマン前にバフェットがJ&J、ウォルマートとバドワイザーを買った理由はグロース株だったからなのかもしれない

バフェットは2005年から2006年にかけてウォルマート株とジョンソンエンドジョンソン株、そしてバドワイザーを傘下に持つアンハイザー・ブッシュ株を購入しています。バフェットは以前「自分の理解できる事業に投資する」と発言していました。ですから、バフェットがこれら3社の株を購入した理由を「理解でき、安定的に利益を出せる企業だから」だと解釈している方も多いと思います。カナリーもそう思っていました。しかし、15年前のETFのアニュアルレポートを読んで(最近のマイブーム)、バフェットはこれら3社を成長企業として捉え投資していたのではないかとも思えてきました。

 

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J&Jやウォルマートバドワイザーは今でこそ「高配当企業」、「安定企業」、「バリュー株」のような扱いを受けていますね。しかしバフェットが投資した当時は全く異なり、「グロース株」のような扱いを受けており、グロースETFに大きく組み込まれていました。以下が2006年のストリートトラック(現スパイダー)のグロースETFの組み入れ上位5社の銘柄です。

 

グロースETF上位組み入れ銘柄

組み入れ比率

マイクロソフト

3.50%

P&G

3.03%

ジョンソンエンドジョンソン

2.95%

ウォルマート

2.06%

シスコ

1.99%

(Streettrack 2006年6月アニュアルレポートから)

 

因みにアンハイザー・ブッシュ株は少ないですが、0.55%組み入れられていました。

 

これを見て、意外だと思った方もいるのではないでしょうか。J&J、ウォルマートだけでなくP&G(バフェットはジレット株との交換で所有)も完全にグロースETFの一員だったわけです。今ではイメージしにくいポートフォリオですね。ちなみにこの4社(P&Gも含め)は同時期のバリューETFには一切組み込まれていませんでした。ですから当時の世間は3社を完全なグロース株と認識していたわけです。そしてこれらの企業は当時、成長株と呼ぶにふさわしい成長率を示していました。以下が3社とP&Gの2004年と2017年までの5年間の営業利益の平均成長率です

 

 

2004年までの5年間平均成長率

2017年までの5年間平均成長率

ジョンソンエンドジョンソン

9.95%

5.11%

ウォルマート

15.88%

-5.97%

バドワイザー

27.81%

6.14%

P&G

12.91%

0.99%

(Morningstar, 各社アニュアルレポートから算出)

 

当然成長率は様々なマクロなどの様々な要因を受けますから、現在と15年前を単純に比較することは出来ません。ただ、15年前バフェットが投資した当時、これらの株が成長を謳歌していたのは間違いなさそうです。

 

バフェットがどうして3社に投資したのか明確な理由は分かりません。ただ、成長率が高かった時期にこれらの株を購入し保有していたことから、安定企業への投資というよりは、高い成長力を見込んで投資していたと思われます。また成長株投資家のフィッシャーの影響をある程度受けたことを勘案すれば、バフェットは「自分が理解でき、値段がそこそこなグロース企業投資家」といえるのかなと思います。