カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

その投資、ステレオタイプに陥っていませんか?

ステレオタイプ」とは、よく社会心理学で使われる用語です。先入観や固定観念、こじつけのようなものを指すと思って頂ければいいかと思います。例えば「日本人=勤勉・時間をよく守る」といったような先入観でしょうか。

 

投資から話は逸れますが、社会心理学ではこのステレオタイプ研究の一つとして、偏見や差別に関する実験がよく行われています。

 

アメリカでは最近、黒人の方が警官に射殺される事件が発生し、議論を巻き起こしていますが、これは最近に始まったことではありません。このようなことは以前から起こっており、特に99年に起こったアマドゥ・ディアロ事件(犯罪とは無関係だった黒人の方が、警官4人から41発の銃撃を受けて亡くなった事件)は、社会心理学の分野では研究対象となっています。社会心理学の中ではステレオタイプ、つまり黒人の方への無意識的な偏見がこのような事件を起こした一つの要因と解釈されています。

 

また社会心理学の数多くの研究では、人々が様々な物事(例えば人種、職業、性別など)に対して無意識的に偏見や固定観念を持っていることが証明されています。ただもちろんですがステレオタイプを理由に偏見や差別は許されません。

 

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さて、投資とは無関係な話をしてしまいましたが、カナリーはステレオタイプ的なものが投資においても良くない影響を与えると考えています。まあステレオタイプというよりはヒューリスティックやバイアスといった部分かもしれませんが。

 

とりあえず、何が言いたいかというと、企業や株をカテゴライズして偏見的に考え投資をするのは良くないということです。例えば、

 

東芝=大企業 =株も安泰」 みたいな先入観でしょうか。

このような考えのもとで不正会計以前から投資してきた人たちは、この先入観が正しくないことを、身をもって体験したのではないでしょうか。

 

最近のアメリカの事例でいえば、「GE=世界的企業=株も上昇していくだろう」といった先入観。財務分析なしで、このような先入観のみで株価暴落前まで投資してきた人たちは後悔しているのではないでしょうか。

 

あと気になるのがグロース・バリューのカテゴライズやレッテルでしょうか。ちょっと言葉では言い表しにくいのですが、例えば…

 

「ある企業Aの株がバリュー株として認知されていた。そのためグロース投資家Bは世間と同じようにA株=バリュー株だという先入観を持っていたため、初めから興味がなく、財務分析もしなかった。しかし、実はその企業Aは着実に成長力してきており、その後の5年間で更に大きく成長を遂げ、投資家Bは投資機会を逃してしまった。」

 

少し都合がよく突っ込みどころ満載の作り話かもしれませんが…。ただ、この投資家Bは先入観を持たずに企業Aを調査していれば、自分のグロース戦略と合致している企業Aに投資できた可能性があったにも関わらず、先入観によって調査を怠り、投資することが出来なかったのです。

 

何が言いたいかというと、バリューやグロースといった先入観やレッテル、そうしたものが投資家の投資行動を制限し、その結果、本来モノにすべきチャンスを逃してしまったり、自分の投資戦略と矛盾した投資行動を引き起こしてしまうのではないのか、ということを言いたいのです。まあブログでグロースやらバリューやらの単語をタイトルにつけて記事を書いているカナリーが大声で言えたものではありませんがね。

 

投資家として大事なのは、先入観を持ちすぎず、とりあえず調べてみる、財務分析をしてみる、そうした姿勢が重要なのだと思います。ただ、ステレオタイプの厄介なところは偏見やレッテル付けを無意識的に行っていることです。ですから人間である以上、投資判断に先入観を一切持ち込まないというのは不可能かもしれません。ただ取り除く努力は大切です。

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