カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

ByとToの違い。英字の経済ニュースの数字を正しく理解する

今回は英語の経済ニュースを読む投資家の方や、英語を学習している方に読んで頂ければと思います。

 

英字の経済ニュース等を読む際に重要なのは数字の理解です。もちろん、記事や文章の大枠を理解していなければなりませんが、売り上げや利益等、投資家にとって必要な情報は数字で示されますから、数字を正しく理解することは必須です。しかし読者の方は「数字は1,2のように算用数字で表されるから理解出来る」と考えていると思います。まあ確かにそうですが、例えば日本語での「以下」と「未満」のように、数字にまつわる単語で、「ニュアンスは似ているが実際の意味は異なる」というものが英語にもあり、数字の意味合いが変わってくるものがあります。その中の1つがByとToです。例文で見ていきましょう。

 

       (1)  In 2017, General Electric’s revenue was decreased by 5% compared to the prior  year.

       (2)  In 2017, General Electric’s revenue was decreased to 5% of its revenue in the prior year.

 

1と2の文章ともに、前年に比較して2017年のGEの売り上げ(revenue)が減少したということは同じです。しかし太字のbyとtoによってこの2つの文章の意味合いは投資家にとって大きく異なります。

 

それぞれの意味は

 

      (1)  2017年、GEの売上高は前年から5%減少した→前年の95%の売上高。

      (2)  2017年、GEの売上高は前年の5%となった→前年の5%の売上高。

 

つまり、仮にGEの前年の売上高が100ドルの場合、

 

       (1)の文章の意味は、2017年の売上高は95ドル

       (2)の文章の意味は、2017年の売上高はたった5ドル

 

という形になります。

 

簡単に解説すると

 

数字などの変化を表すとき、

Byは単純に減少/増加分を意味します。

一方でToは全体の推移を意味し、「ここまで増えた/減った」という意味を持ちます。つまりA is increased to 150%ならばAは元の150%になったことを意味します。ということは、

 

A is increased by 50% = A is increased to 150%

 

ということです。

 

Byは”~まで”という意味もありますので、逆に考える人も多いのですが、数字の変化を表す際はToが”~まで”のような意味になるので注意してください。

 

さてByとTo によって文の意味合いがかなり変わっているのが分かって頂けたと思います。上の例文ですと(2)の文章の場合、株価が大きく下落すると思われます。ただカナリーの主観では(1)のbyを用いた文章の方が多い印象です。

因みに今回はdecrease(減少する)とincrease(増加する)を動詞として使いましたが、動詞ではなく名詞形でも同じです。今後、英文で経済ニュースをチェックする際は是非意識していただきたいポイントです。